YB10L-A2が死んだ。

バイク専用の12Vバッテリーの型番だ。
2001年製のグラストラッカー・ビックボーイに積んでいた。

Velocity

聞いたことのないメーカーだった。
素人の使用感だけれど、互換性は全く問題なかった。「純正品がいい」「高いものを積んだほうが良い」という意見はネット上のあちこちに散見したけれど、私には何をもってして「良い」のか判断がつかなかった。そこまで詳しいことはどこにも書いていなかったし、書いてあったとしても整備士でない自分に読み解ける自信もない。
それよりも、「問題なく動く」というシンプルな事実のほうが私にとってはよほど大切で、それさえ分かれば外国製であっても、「粗悪品」であっても構わなかった。

台湾製YUASAとの違いは……?

型番が同じだから混乱した。
バイクの購入当時に詰まれていたものは、台湾製YUASAのYB10L-A2だった。こちらも互換性は全く問題なかった。
台湾製YUASAは、廉価で、当たり外れはあるけれど概ね「性能がいい」という評価で通っている。一説によると、「ちゃんと」使っていれば(たぶん満充電の状態をキープすればという意味だろう)バイクのバッテリーは10年持つということだけれど、プロでもない人間がいい加減な乗り方をした結果、寿命は3年だった。
冬の間、放置していたらウインカーすら点かなくなっていた。
良いものを積んだとしても、日常的にそれをケアできる地盤がないのならば宝の持ち腐れといういい例、いや悪い例だ。大した運転スキルもない自分にパフォーマンスにどれほどの違いがあるのかは分からないし、分かるほどの乗り方というのが、どういうものなのかも想像がつかない。

「自分で」バイクをメンテナンスする醍醐味

整備士に任せたほうが確実だ。
知らないうちに他の電装系パーツを痛めてしまう可能性だってある。
それでも3年前、瀕死だった台湾製YUASAを、Velocityの新品に交換したときは感動した。坂道を上がるときの馬力・スムーズさといったら、まさに雲泥の差、天国と地獄だ。天国も地獄も知らないけれど。
純正品に交換していたならば、もっと感動したのだろうか。
実際に「高いもの」を積んでみないことには、良さなんて分からないのかもしれない。
良いものを使わないと、身体も良いほうに馴染まないのかもしれない。
それでも私は、YB10L-A2と一緒にあちこち遊びに行った。楽しかった。「よく分からないバッテリーを、自分なりにネットで探して注文して、交換して、ちゃんと動いた」という体験にも高揚した。
「問題なく動く」というシンプルな事実は大切だけれど、一方で、「確実に動く」と分かりきった純正品に交換してもらうのも、それはそれで、またどこか味気なくつまらない気がしたのだ。
でもきっとバイクのメンテナンスとしては、後者のほうが絶対的に良いのだろうけれど。

長持ちさせるには

バイクにとって一番いいのは、毎日乗ってあげることだ。
エンジンを吹かせ続けること。
それだけでバッテリーは充電されるし、ガソリンが腐って詰まったり、中が錆びるリスクも軽減する。
とはいえ極寒シーズンに、剥き出しの身体で100km近い時速を出す気にはなれず、冬の間はバイクを冬眠させることにした。
YB10L-A2を、一度バイクから外さなければならない。自然放電を防ぐためだ。
工具でバッテリーカバーを外す瞬間はいつもドキドキする。といっても、-→+と配線を外すだけなので拍子抜けするほど簡単だ。唯一気をつけたほうがいい点は、バッテリー液は希硫酸だから、整備の際は作業用手袋をはめないと火傷する。薬局で売っている薄手のゴム手袋は、希硫酸の前では紙も同然だ。短時間ならばいいけれど、作業時間が長引くとじわりじわりと侵食してくる。痛い(試した)。なので、ちゃんとした整備用手袋を使ったほうがいい。

「これで冬を越せるぞ」と、ほくほくとYB10L-A2を充電器に繋いだ。
「バイク冬眠中」という言葉もなんだかロマンがある。春先を楽しみに、自室の充電器に繋ぎっぱなしにしておいた。

YB10L-A2は死んだ。

昨日だ。
YB10L-A2は死んでいた。

春風のあたたかさに意気揚々と、「そうだ、バイクを起こそう」と思い立った。
YB10L-A2を充電器から外し、今度は+→-の順でバイクの配線に繋いでいった。それで正しいはずなのにウインカーが点かない。なぜだ、と検索してみると、どうやら充電器に繋いだバッテリーも、1回満充電になった後はまた自然放電していくから、そのたびに充電しなおさないと、電圧は下がってしまうらしい。つまり私は「バイクから外した」という行為だけで満足し、自室でバッテリーを上がらせてしまったということだ。
い、いやでも、とデフォルトの状態で電圧を計測してみた。「13.4V」と表示される。充分な電圧ではないか、とまたバイクに搭載する。今度はセルを回した状態で計ってみた。すると13.4Vだったはずのものが、今度は「2.6V」と表示された。
2.6!? これでは充電すらできない……
放置していた期間は、たぶん4ヶ月くらいだったかと思う。4ヶ月でYB10L-A2は死んでしまった。
いやどんな高価なバッテリーでも、放置されたら死ぬだろう。良いものを積んだとしても、日常的にそれをケアできる地盤がないのならば宝の持ち腐れといういい例、いや悪い例だ……

反省を胸に

懲りずに今日、同じものを注文した。
YB10L-A2だ。またリズミカルに動いてくれるといい。
今度は1日でも長く生きてくれますように。

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