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「フェミニズム」の推薦図書――国際女性デーが終わっても、女性は生き続けます。

“If you stand for equality, then you’re a feminist. Sorry to tell you, you’re a feminist.”
「平等が大切だと思っていますか? そうだとしたら、あなたはフェミニストです。申し訳ないけれど、間違いなくフェミニストですね」

Emma Watson(エマ・ワトソン, 女優,『ハリー・ポッター』ハーマイオニー役などで知られる)

こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。

日本ではどうしてか「フェミニズム」という言葉を嫌がる人が多い印象ですが、海外(西欧圏に限らず。詳細は後述)ではスタンダードな思想です。
DCやマーベルなどの子どもが視聴する漫画にも、フェミニズムという言葉は当たり前に登場します。従って、国内でも文学賞を目指したり、留学志望の方は押さえておかなければ「古い」と一蹴されます。また、20世紀の黒人奴隷や植民地支配を「おかしい」と感じるならば、22世紀には、性差別はそれと同じ扱いになる(「昔の人はどうかしてたよね」と言われる)」可能性が極めて高いということは、知っておいて損はないかと思います。
今日は、「フェミニズム」という言葉に抵抗を感じる人にこそ読んで欲しい、平易な本をご紹介します。小学生以上ならば読めるようなものだけを3冊、選びました。
よかったら、身近な大切な女性を守るために、またご自身の身を守るために、ご活用くださいませ。

1)『世界がもし100人の村だったら 総集編』池田香代子+マガジンハウス



絵本です。
ある学校の先生が生徒に送ったメールは、「世界人口(当時67億人)をもし100人の村に縮めたらどうなるか」というアプローチで、様々な社会問題を分かりやすく説明したものでした。
とりわけ強烈なインパクトは、貧困問題。

「すべての富のうち、1人が40%を持っていて、49人が51%を、50人がたったの1%を分け合っています」

池田香代子 再話・文, 2020『世界がもし100人の村だったら 総集編』マガジンハウス文庫, p.28

――貧困なんて遠い世界の出来事だと思った方。
今日、日本では、2019年10月~12月期の国内総生産(GDP)が、成長率「マイナス7.1%」という信じられないニュースが発表されました。
GDPというのはものすごく簡単に言うと景気の良し悪しを示す指標ですが、7.1%下がったというのがどれくらい深刻かと申しますと、 2011年1~3月期のGDP成長率が「マイナス3.7%」ですから、東日本大震災の時に比べても、さらに大幅に悪化しているということです。
ちなみに「マイナス7.1%」はコロナショック前の数字です。
残念ながら、TV報道などで繰り返されていた「経済は緩やかに回復」という言葉は嘘だったということですね……悲しいです。
実は日本は、先進国の中では極めて高い貧困率で知られています。7人に1人の子どもは、お腹いっぱいごはんを食べることもできません。
どうしてこんなことが起きているかというと、
「すべての富のうち、1人が40%を持っていて、49人が51%を、50人がたったの1%を分け合っています」
――日本にも当てはまるのです。
身近なところだと消費税。
鉛筆一本買うのにも苦労する子どもからも「等しく」お金を徴収するのが消費税です。
あなたは、このシステム、本当に「平等」だと思いますか?
財源を増やす目的であれば、他にも法人税、相続税、贈与税など幾らでも方法はあります。
なぜ、「子どもからもお金を取る消費税」が最優先で上がっていくのでしょう。
この絵本には、そうした疑問を読み解くヒントが描かれています。
フェミニズムとは一見関係なさそうに見える本ですが、グローバル社会では、全ての問題は一本の線で繋がっています。
女性の社会進出は、既得権益の問題です。
よかったら、考えてみてください。

2)『ルワンダの祈り』後藤健二



著者はISに殺害されたジャーナリスト。
(……と紹介することを、悩みました。アラブの兄弟を誰よりも愛していた人です)
中東地域の取材で有名な方ですが、彼が命懸けで報道していたのは、イスラム文化圏だけではありません。
アフリカのルワンダ共和国は、フツ族がツチ族を虐殺した悲しい歴史で知られていますが、2019年12月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ・ランキングでは、なんと9位につけているのです。
虐殺という恐ろしい歴史が起こったのは1994年。そこからわずか30年足らずで民主化が一気に進み、今では憲法で「意思決定機関(つまりトップ)のメンバーの30%以上を女性にするように」と明記するまでに至っています。
後藤さんは、取材中にこう尋ねています。

「実はわたしたちの国、日本でも六十年以上前に戦争で負けた後は同じ状況でした。働き盛りの男性が少なくて、女性が働いて家計を支えていたのです。ルワンダは今、国会議員のおよそ半数が女性ですよね。日本では女性の国会議員の割合がたったの一割程度。日本に比べると、ルワンダは何にもなかったところからこの十年ちょっとの時間でかなり進歩したと思います。なぜそうなったのか――」

後藤健二, 2015『ルワンダの祈り』汐文社, p.54

続きはぜひ、読んでみてください。
「アフリカが遅れている」という認識は大きな間違いであり、傲慢だと気づきます。

3)『わたしはマララ』マララ・ユスフザイ



「女の子だって教育を受けたい」
たったそれだけの発言で、15歳のときに頭に銃弾を撃ち込まれた少女がいました。
マララ・ユスフザイさん、2014年に17歳という若さでノーベル平和賞を受賞した才媛。現在は大学に通っています。つい先日、5つ年下の気候活動家、グレタ・トゥーンベリさんとの笑顔のツーショットが話題になりましたが、彼女の過去は壮絶です。
全てはタリバンの恐怖政治が悪いと思われがちですが、実際はそう単純な話ではありません。そのことがよく分かる一節が、

「ソ連軍のアフガニスタン侵攻によって、(非人道的な政治で)世界の嫌われ者だったハク将軍が、冷戦下における自由の守護者になった。アメリカはふたたびパキスタンの友人になった。アメリカにとって、ソ連が最大の敵だったからだ」 《中略》
「わたしたちパシュトゥン人は、パキスタンとアフガニスタンにまたがる地域に住んでいて、国境線などあまり意識していなかった。そんなもの、イギリスが100年以上前に引いた線に過ぎない。だから、ソ連のアフガニスタン侵攻には、はらわたが煮えくり返る思いだった。《中略》
父がいうには、わたしたちにジハードに加われと焚きつけたのはCIAだ。難民キャンプの子どもたちに与えられる教科書も、アメリカの大学で作られたもので、基礎的な算数の計算でさえ、戦争を題材にして説明されていた。たとえば、『ソ連の異教徒10人のうち5人がわれわれイスラム教徒によって殺されたら、残りは五人です』とか」

マララ・ユスフザイ+クリスティーナ・ラム著, 金原瑞人+西田佳子訳, 2013『わたしはマララ』学研マーケティング, pp.47-49

――この本を読むと、「イスラム教徒は怖い」という認識がいかに軽率で短絡的か分かります。
もともとパキスタンの建国の父ジンナーは、「男女が力を合わせなければ、なにごとも達成などできない。世の中にはふたつの力がある。剣の力とペンの力だ。そしてもうひとつ、それらより強い力がある。それは、女性の力だ」と言っていたのです。
それが、たった一人の政治家が、急に大昔のイスラム法を重視し、国中に神学校を建て、教科書で「インドとの戦争は勝ったんだ」と嘘を教え始めたことで豹変しました。
ちなみに今、日本でも同じことが起きています。
たった一人の政治家が、急に大昔の教育勅語を重視し、神社で皇紀カレンダーを配布し、教科書を「第二次世界大戦は敗けてない。終わっただけだ」と書き換え、そして昨今、とても悲しいことですが、コロナ禍の水面下で緊急事態条項を押し通そうとしています。今からでもデモや署名活動などで止めなければ、タリバンと同じになりかねないということは、歴史が証明しています。
こうした政治で一番打撃を受けるのは若い人ですから、選挙に行かなかった大人たちに悲しい気持ちでいっぱいです……
少し脱線しましたが、日本は昨年、入管法も改正されました。
これから大勢の外国人が入ってきます。家族を戦争で殺された難民や、移民の子どもたちが、あなたの学校にも在籍するようになります。
その時、どうかあたたかい気持ちで迎えてあげて欲しいのです。
この本は、そのための一助となります。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。とっても嬉しいです。
きっとまた、遊びにいらしてくださいね。

大家さんが千葉県市川市で入居者募集をしています。
「ペットもルームシェアも単身高齢者もLGBTQも外国籍も生活保護も前科持ちも当たり前にOK」だそうです。詳しいことはリンクからご確認くださいませ。
「自分も物語の世界に飛び込みたい」という方は、とりわけ、大歓迎です。


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