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『毒親絶縁の手引き』書影。木の机の上に、珈琲カップとともに置かれている。

『毒親絶縁の手引き』改訂新版・鋭意制作中(2026年新法対応)――親との縁を切るには

こんにちは、紅龍堂書店の柳瀬です
※念のため補足しますが、仮名です。
一部で「本名」と誤解して心配されている方、あるいは「本名を見た」といった誤った書き込みをしている方(もしくは加害者?)を見かけて疲弊したことがあるのですが、実名の公開は一切していませんし、今後もありません。
虐待やストーキング被害で支援措置を受けている当事者が、オンラインで実名を出すことは極めて稀であり、基本的には安全上不可能です。

DV等支援措置を使って父と絶縁して、今年の5月で8年になりました。
「この親殺し」と罵られていた実家時代に比べれば別世界のような平穏さですが、それでも毎年の警察での更新手続きや、放置された実家の後処理など、「縁を切ったからといってすべてが終わるわけではない」と痛感することも少なくありません。
この数年だけで、父が勝手に私名義に変更した建物が違法建築だと発覚したり、墓参りに行くと母の墓が荒らされていたり、寺のご住職から父の管理費未払いを知らされたり、「実家の所有権を譲渡したい」と弁護士経由で突然連絡が入ったかと思えば、「住所を教えないと渡さない」と、生前贈与すらストーカーの道具にしていたり(※贈与は不要と断りました)。
2年前、『毒親絶縁の手引き』の冒頭で、

「毒親」という表現はなるべく使わず、意識的に「加害親」と表記しました。
理由は、「いじめ」という単語に暴行罪や傷害罪を矮小化する効果があるのと同様に、「毒親」という呼称は、その認知を広めることに貢献する一方で、虐待やストーカーなどの犯罪行為を、被害者や加害者に自覚させづらくする側面があると懸念するからです。

と記載しましたが、皮肉な話、私の父に関しては数々の違法行為を自覚していたのだなと実感せざるをえませんでした。
さすがに新築で事務所用途の建物を建てる際に、検査済証の未取得や、建築許可証と異なる間取りを“うっかり”やってしまうとは考えづらいですから。
「犯罪者」を親に持つというのは心情的にきついものがあります。
彼は裁かれてこそいませんが、いつか逮捕されて欲しいと茫漠と願う反面、もうどうでもいい、とにかくこれ以上嫌な報せを私の耳に入れないで欲しいとも思います。
一つだけ確実に言えることは、「離れてよかった」ということです。
離れてもなお負債を残すような人間の傍で暮らし続ければ、私自身も、いつか腐りきっていたような気がしてならないからです。

改訂新版のお知らせ

今も「なんだかなぁ」と思いながら父の後始末に奔走する日々ですが、吉報があります。
『毒親絶縁の手引き』、2026年施行法に対応した改訂新版を鋭意制作中です。
版数としては三版……なのですが、初版刊行当初に比べ、行政ホームページのリンク切れがあまりに多く、また法改正などで内容に齟齬も出てきたので、思い切って旧版は現在庫をもって絶版とし、「改訂新版」を出すことが決定いたしました。
この本が長く売れるということは、翻って毒親被害が後を絶たないということ、行政手続きが未だに(あるいはますます)不便で分かりづらいということですから、手放しで喜ぶことはできないのですが、それでも「必要だ」と信じて作った本なので感慨深いものがあります。
ブログできちんとご紹介したことは無かったので、この機会に初めて本書をお手に取る方のためにも、どんな本なのか以下に振り返ってみます。
もしあなたが、

  • 父親/母親との関係を終わらせたい
  • 法的に親子の縁を切る方法を調べている
  • 家出したいが、やり方が分からない
  • 扶養を拒否したいが、どうすればいいのかわからない
  • 毒親と距離を置きたい。でも、誰にも相談できない

あるいは、

  • 配偶者からDV被害に遭っている
  • 元夫/妻が離婚後もしつこく嫌がらせをしてくる
  • 家族の中に毒兄弟/姉妹がいる
  • 家族がカルト宗教にはまっている
  • ストーカー被害に遭っている
  • 虐待被害に遭っている

といった悩みを抱えているのであれば、その対策の大半は、おそらく本書に書いてあります。
「大半」「おそらく」というのは、精神的な苦痛を取り除く方法については本書では触れていないからです。この一行を読まれている方ならきっとご存知のとおり、そうした分野については、他にも良書が多く存在します。
毒親と絶縁した方のエッセイ、漫画、精神的な距離の置き方……メンタルケアについての本はたくさんあります。
ただ、物理的な避難方法、手順、リスク回避、また法律や制度について具体的に綴った実用書……私がずっと欲しかった「手続き」に特化した本だけは、この10年近く1冊も刊行されませんでした。
無いものは作るしかないと、クラウドファンディングで形にしたのが本書です。
その節は本当にたくさんの方々――とりわけ同じ毒親被害に苦しんできた方々――に支えていただきました。改めて御礼申し上げます。

親子の縁を切る方法はある?

「親との縁を切るにはどうすればいいですか?」
10年前、他ならぬ私自身が弁護士に尋ねたことです。
残念ながら民法上、親子関係そのものを解消する仕組みはほとんど用意されていません。「絶縁届」のような便利な書類も存在しません。
けれど、物理的に“親と関わらずに生きていく”ための制度や手段は、実はいくつも存在します。

  • 住民票や戸籍の閲覧を制限する(DV等支援措置)
  • 戸籍を本籍ごと移す(分籍)
  • 親の扶養を拒否する(家庭裁判所への扶養義務免除申立)
  • 絶縁状態を証明して生活保護を申請する
  • 成年後見制度や財産の管理・相続を制限する
  • 生活拠点ごと変え、完全に連絡手段を絶つ
  • 親からの連絡があったときに拒否できる仕組みを持っておく(内容証明、代理人、相談機関)

など、まだまだたくさんあります。
本書では、実際に制度を使って逃げた私自身の経験と、複数の当事者や支援者――監修の柴田弁護士をはじめ、DV・モラハラと闘ってきた法曹界の方々、また福祉関係者、警察、役所、法務局、避難専門の引越業者など、極めて専門性の高い方々の声をもとに、どこにどう頼ればいいのか、どの制度が自分にとって現実的なのかを、具体的に網羅しています。
たとえば「父親と絶縁したい」という場合。
住民票を見られないようにするには、DV等支援措置の申請が必要です。
しかし、それには事前に相談機関の意見書が求められます。
相談機関に行くには、証拠や経緯の整理が必要な場合もある。
そのための準備、窓口の探し方、自治体ごとの違い、申出書の記載方法――
制度の入口にすらたどり着けずにいた、かつての自分のような人のために、「どこに、どう、何を言えばいいのか」まで、可能な限り噛み砕いて書くことを心がけました。
また、「母親からの扶養請求を拒否したい」という場合も、役所の窓口で「家族なんだから仕方ない」と言われて泣き寝入りするケースが少なくありません。
そうしたときに使える法律、弁護士に頼るタイミング、生活保護と扶養義務の関係、証拠の残し方なども、実例を交えて整理しています。
制度は使えなければ存在しないのと同じです。
そして制度を「使えるかどうか」は、圧倒的に情報の有無に左右されます。

本書は、「感情的に親と距離を置きたい」という思いを、「制度的にどう距離を置けるか」に変換するための、いわば地図のようなものです。

誰がこの本を読んでいるのか?

『毒親絶縁の手引き』は、「親と縁を切りたい」と思っても、何をどう調べればいいのか分からなかった、かつての私のような人に向けて書いた本です。
けれど実際に届いたのは、私が想像していたよりももっと広く、切実な人たちでした。

  • 宗教2世/3世の方々
  • 子どもを守りたいシングルマザー
    元夫や実親からの接触を断ちたいけれど、法律や制度を調べる時間も余裕もない。
    誰にも相談できずに、夜中にネットで「親 縁切り 方法」と検索した末に、本書にたどり着いた、という読者もいます。
  • 親から扶養を求められて困っている若者
    「仕送りをしないと訴える」と言われたり、突然、役所から「親を扶養してください」と書類が届いたり。
    そもそもそんな義務があるのかどうかさえ、学校では教えてくれないのに。
  • 過干渉や精神的虐待に苦しむ社会人
    「もう大人なんだから自立してるでしょ?」
    そう言われながらも、毎週のように実家に呼び出される。
    進路、交友関係、仕事、結婚、すべてに口を出され、断ると無視されたり責められたりする。
    逃げるにも、どこから“逃げ”なのか分からないまま苦しんでいたという方もいました。
  • 支援職、福祉関係者、弁護士などの専門職の方々
    被害者支援の現場では、制度や手続きの説明に手間取る場面が多い。
    「この本に一通りまとまっているから、まずこれを渡してから一緒に読んでいます」
    そんなふうに、現場の道具として使ってくださっている声も多数寄せられています。
  • 親から逃げたい10代〜40代の虐待被害当事者
    多くの方は「虐待」とは殴る・蹴るの暴力だけを指すと誤解しています。
    しかし児童虐待防止法は精神的虐待やネグレクトについても明記しています。本書を読んで初めて「あれは虐待だったのか」と驚かれる方を何人も見てきました。
    逃げる決意をしても、最初に何をすればいいかわからない。警察も児童相談所も「緊急性がない」と言う。
    支援措置なんて言葉、存在すら知らなかった――そうした声が本当に多く届いています。

最初は「自分が欲しかった本」を書いたつもりだったのですが、実際にはあまりにも多くの人が、同じような場所で足を止めていたのだと痛感しました。
もしあなたが、親との関係性で踏み留まっているのであれば、少なくとも足枷を外す「道具」の一つにはなるのではないかと思います。

本書の内容

せっかくですから目次も貼っておきます。
調べ物に抵抗のない方であれば、この目次だけでもおおよその事務作業は完了できると思います。

「親と法的に縁を切る」という言葉だけを見れば、強くて劇的な印象を受けるかもしれませんが、実際に手続きを始めるとただただ地味で、ひたすらに根気のいる「作業」です。
必要なのは役所の制度、法律の条文、場合によっては証拠の保存(証拠は無くても大丈夫なケースもあります。殴られている瞬間に動画なんて撮れません)、そしてたった一枚の申出書です。
『毒親絶縁の手引き』では、そうした現実に即した離れ方を、制度ごとに、またヒューマンエラーなどのリスクまで明確に書くことに注力しました。

  • 親との縁を切るために使える制度や法律の種類と、その限界
    民法・住民基本台帳法・戸籍法など、根拠となる制度と注意点を解説
  • 親子縁切りに使える行政サービス一覧
    DV等支援措置、分籍、住民票の閲覧制限、扶養義務拒否など
    どの制度を誰に申請するのか、順を追って記載。
  • DV等支援措置の申請方法と、自治体ごとの“違い”への備え方
    書き方のコツや申出書の実物イメージ、必要書類の確認ポイントなど
  • 住民票・戸籍の閲覧制限の仕組みと落とし穴
    どこまで制限できるのか、制度の限界やマイナンバーとの関係なども記述
  • 扶養を拒否したいとき、生活保護とどう両立するか
    役所で言われがちな「親を頼ってください」という言葉への対処法も含む
  • 弁護士に頼まないでできること・頼るべきタイミング
    経済的に余裕がなくても、最初の一歩は踏み出せるように、自己対処可能な範囲を明示
  • 相談先・窓口・証拠の集め方
    SNSのスクショ保存の注意点、病院や警察での記録の残し方など、今すぐできる備え
  • 親と絶縁する前に確認しておきたい、チェックリスト
    思いつきで逃げないための時系列確認表。リスクや必要物の見える化

親との関係を本気で・物理的に断つためには、役所の戸籍係、福祉課、警察、場合によっては弁護士会、医療機関、支援センターなど、複数の窓口を横断して動く必要があります。
とてもではないですが一日では終わらないです。
それをすべて一人で、ゼロから調べて実行するのは、はっきり言って苦痛です。
本書はその負担を少しでも減らすために、あらかじめ必要な情報を一冊に集め、できる限りフラットに、また意識的に「淡々と」まとめたものです(加害親は感情の起伏が激しい場合が多いので、読む前に文体で疲弊しないように)。
何かを決意した人が、その次に「どうやって」「どこに」「どの順で」動けばいいのかを調べる時間と気力が足りないときに、辞書のよう開いてもらえれば。
また、「動けなくても、読むだけで少しは安心できる」……そんな使い方もしてもらえたら、書いた意味があったと思います。
より詳しい内容や読者の皆様の感想については、ぜひ過去のクラウドファンディングページや、各書店さんのレビューなどをご参照いただければと思います。

メディア実績・社会の変化

全国の児童相談所には、年間20万件を超える虐待通告が寄せられ、今なお増え続けています。
「逃げ方」に特化した本は絶対に必要です。
私が子どもの頃は、「親と縁を切りたい」など誰かに相談しようものなら、十中八九「お父さんにも何か事情があるんじゃないの?」「家族なんだからさ」など言われてうんざりしたものですが、最近、やっと少しずつ風向きが変わってきました。
一つには本書がクラウドファンディングで162%を達成したこと。
「毒親」被害が決してマイナーではなく、大勢が苦しんでいるという事実が可視化されました。そしてCAMPFIREアワード2023で『みんなで乗り越えた』賞を受賞。
ロングセラーとなり、おそらく年内には三版(改訂新版)を刊行します。
改訂新版では2026年に使える最新情報も付記しています。
弁護士、社会福祉士、婦人相談員、行政関係者からの推薦も多く、
朝日新聞、産経新聞、ダイヤモンド・オンライン、まいどなニュースなど各メディアにも掲載していただきました。まいどなニュースやwithnewsは若い方、産経新聞やダイヤモンド・オンラインは男性読者も多い媒体ですから、取り上げていただけたことは嬉しいサプライズでした。
メディアでの紹介は一過性のものではなく、2年も前の本なのに、いまだに紹介が続いていることも象徴的に感じています。
特に朝日新聞では、2025年7月31日まで記者サロン「さらば毒親」にて本書の紹介が継続中です。

加害者が親であるケースは、社会的にも見過ごされがちです。
この一行を読んでいるあなたも、もしかすると、昔の私のように途方に暮れてこのブログに辿りつかれたのではないでしょうか(本書はキーワード検索用に広告を出しています。採算はほとんど取れないのですが、「昔の自分ならばこう検索した」という単語を中心に、年末年始や、帰省シーズン、父の日前後など、自分が辛かった時期に広告費を上げています)。
当時の私は、もう本当にどうすればいいか分からなくて、弁護士と警察に相談しました。
でも本当は自分の勉強や将来のために使いたかった時間でありお金でした。
本書のように、まずは安価に(といっても税込2,420円かかってしまうのですが……。新版は印刷費や資材高騰もあるので、大変心苦しいながら、若干の値上げも検討しています)知識を身につけられる機会があれば、随分気持ちが楽だったろうなと思います。

どこで読める?

期待しても何も変わらないなら、自分から物理的に距離を置くしかない――
分かってはいても、私自身は諦めるために10年以上かかりました。
最初から制度の知識があれば、こんなに悩まずに済んだのではないかとも思います。
20年前には存在しなかった様々な制度を、あなたにはぜひ知ってほしいです。また、引っ越しを検討しているのならば、事前に調べておくことを強くおすすめします。知らないまま逃げても、見つかってしまう可能性が極めて高いからです(詳細は目次画像をご覧ください)。
不幸な事故を減らすためにも、あなたや、あなたの周囲に苦しまれている方がいるのであれば、本書を薦めていただければ幸いです。

尚、本を読みたくてもお金がないという方は、図書館でも本書を置いてくださっている館があります。以下に図書館リストへのリンクを貼っておきます。
紙の本を手元に置くのは親に見つかりそうで怖い……という方は、電子版も取り扱っています。紀伊國屋やAmazon、楽天でも買えるようになっています。
全国のお取り扱い書店・図書館については、こちらのリストをご活用ください。

おわりに

「殺意を抱く者同士が、家族になれるわけがない」
……確か角田光代さんの小説の一節だったかと思うのですが、10年以上悩んだ私が、「もう縁を切ろう」と、ふっと顔を上げるきっかけとなった言葉です。このままでは私が父を殺してしまうかもしれないと思い至ったことが、絶縁の決定打となりました。
正直、本書の執筆当時は「これが正しいのか」と悩むことも多かったのですが、出版から2年が経とうとする今、尚、違法建築や墓荒らし等の遠隔での加害行為が続き、「やはり無理だったのだ」とさめざめと実感しています。
距離を置くしかない親はいます。
私は、距離を置いてよかったです。

あなたの明日が、少しでも展望の明るいものになることを心から祈っています。

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