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ようこそ、
幻想の彼方へ
人文は深いけれど、現実に届かないことがある。社会科学は効率的だけれど、人がこぼれ落ちやすい。だからどちらも取り扱う。
紅龍堂書店は、社会実用と幻想文学を両翼とする、小さな出版レーベルです。
愚直につくる
この空を龍が翔けていたら
游泳する姿に見蕩れる。
世界中の武器を焼き尽くしてくれと願う。
どこか遠くへ連れ去られることを夢想する。
想像力は世界を拡張します。一方で、知識の限界は、イマジネーションの輪郭をも規定します。
私たちは、言葉とは空想上の龍のようなものだと考えています。話者の背景によって、希望にも恐怖にも、崇拝の対象にも破壊の象徴にもなりうる。古くから親しまれ、空を見上げればすぐ傍にいそうなほど身近でありながら、どこにもいない。
心に響いても、実体はない。
手を差し伸べて、現実に介入することもない。
本を読み終えるとき、人はいつもひとりです。最後の頁を閉じたあと、次の目的地は自分が決めるしかありません。
幻想のその先へ
本は、読者に直接的な支援を提供できるものではありません。
紙とペンは普遍的なように見えて、その実、いつの時代も個別具体的な事例を取りこぼしてきました。親がいない子どものために描かれた絵本はいまだ多くはありませんし、今この瞬間も、言葉は戦争を止めるすべを持ちません。
出版という行為への美辞麗句を並べるよりも、私たちは、こうした「不在」を引き受けたいと考えています。
安易な共感や帰属を提示せず、読者に判断を委ねること。
手に取った誰かが世界に失望しても、悩みながら、迷いながら、自分の意思で慎重な一歩を踏み出せるような本をつくること。
愚直であることに、誠実でいたいと考えています。