ご案内

家を出たい。でも出られない。
逃げたのに見つかる。その理由が分からない。
――知識で闘う。制度と法律の実用書。
『毒親絶縁の手引き』


「毒親」――違法行為の矮小化
縁を切るべき親はいます。
「産んでやったのに」と黙らせようとする親。
暴力や性加害を「しつけ」や「スキンシップ」とすり替える親。
通帳や保険証を勝手に使い、SNSや日記まで覗きこみ、進路・交友・恋愛に干渉し、大切にしている人や物を嘲笑う。
さらには罪悪感を植えつけて「親を捨てるな」と縛り、家を出ようとすれば、病気や自殺をちらつかせて引き留める――
こうした行為は、単に「毒親」という範疇を超えて、違法である可能性が高いです。
子どもは、親の所有物ではありません。
にもかかわらず、親権を「好き勝手できる権利」だと誤解している親のことを、本書では「加害親」と呼んでいます。
「家族だから」は、罪を免れる理由にならない
日本では、親や親戚、兄弟姉妹など血縁関係との絶縁について解説した書籍がほとんどありません。
親だけに限らず、暴力的な兄と縁切りしたい、高圧的な姉と離れたいといった痛切な願いも、「不道徳」とされがちです。
しかし法的な観点で言えば、「家族だから」という理由で適用されない刑法はありません。
実際、「毒親」と呼ばれる親の中には、自覚のないままに犯罪行為を繰り返している人が少なくありません。
あまり知られていないことですが、暴行によって怪我をしなくても暴行罪は成立しますし、心の傷も傷害罪の対象です。大切な物を壊せば器物損壊罪、悪評を流せば名誉毀損罪、「殴るぞ」「外出禁止にするぞ」などの発言は脅迫罪に該当する可能性があります。
「毒親」のそばにいると感覚が麻痺しがちですが、これらはすべて、法的に虐待であり、暴力です。
親がDVや虐待の常習犯ならば、生きるために必要なのは「逃げること」です。

親から「離れる」という選択肢(2025年対応)


加害親から身を守るための制度(『毒親絶縁の手引き』一部抜粋)
弁護士に相談すると「親と縁を切る法律はありません」と返されることも多いのですが、これは戸籍法上の話にすぎません。
「毒親」から物理的に離れる制度や手続きは存在します。ただ、窓口があまりにも多いことがハードルとなっています。
以下は一例です。
・DV等支援措置(役所・警察・児童相談所・配偶者暴力相談センターなど)
・分籍と戸籍届書のマスキング申入れ(市区町村役場の戸籍課)
・税業務における支援措置(自治体によって有無や窓口が異なる)
・不動産登記簿の保護(法務局 → 2024年施行の制度改正により、現在はDV等支援措置と併せて市区町村役場で申請可)
・医療費通知情報の閲覧制限(各種健康保険組合もしくは市区町村役場の保険年金課)
・マイナンバーカード(マイナポータルまたはマイナンバー総合フリーダイヤル)
・個人番号指定請求(市区町村役場と警察。遺失届が必要な自治体もあれば不要な自治体もある)
・車の登録事項等証明書の閲覧制限(運輸支局または自動車検査登録事務所)
・同検査記録事項等証明書の閲覧制限(軽自動車検査協会)
急ぎの方はDV等支援措置だけでも申請が通れば、加害者に追跡される可能性は格段に低くなります。
もっとも、継続的な加害に苦しめられている当事者が、これら窓口を自力で探しあて、一つ一つ渡り歩くしかない現行制度は、不親切と言わざるをえません。
無理解な職員に申請が却下されてしまうケースも散見されます。
多すぎる絶縁手続きを「1冊」に
「1冊で済ませられなければ意味がないんです」。
本書は、煩雑な逃げ道をひとりで調べながら、実際に親と縁を切った著者が、「自分が欲しかった情報」をもとに企画したものです。
監修は、DVやモラハラなど家族間の問題に長年向き合ってきた弁護士・柴田収氏。
点在する制度・根拠となる法律をまとめあげ、「1冊読めば、判断や準備の手がかりが得られる」実用書に仕上げました。
特に巻末のチェックリストは、「離れる」と決めたあとに必要な手続きを、時系列で簡便に整理しています。
「どの窓口で、何を、どう言えばいいか」あらかじめ知っておくことは、漏れやリスクを防ぎながら動くための地図となります。
本書は、すべての人に絶縁を勧めるものではありません。
けれど「離れたい」と思いながら、どう動けばいいのか分からずにいる人にとって、現実的な選択肢と、その手がかりを提示する書籍は必要だと考えています。

『毒親絶縁の手引き』書評・メディア掲載実績


「親が加害者」――見えにくい現実
全国の児童相談所には、年間20万件を超える虐待通告が寄せられています。「親と縁を切りたい」という声は、表面化しづらいだけで、確実に存在します。
近年、ようやくそうした実情が少しずつ共有されるようになってきました。
本書は、出版に先立つクラウドファンディングで162%を達成。「毒親」被害者が可視化されるきっかけとなりました。その後、CAMPFIREアワード2023『みんなで乗り越えた』部門を受賞。神戸新聞、朝日新聞、産経新聞、ダイヤモンド・オンラインなど複数のメディアでご紹介いただき、特に朝日新聞では、withnewsや記者サロン「さらば毒親」(2025年7月末まで継続)など、紙面以外でも継続的に取り上げられています。
現在もロングセラーとして支持を受けており、2026年施行予定の制度改正に対応した改訂新版も企画中です。もちろん現行版も、2025年時点で利用可能な制度と手続きを網羅していますから、すぐに動きたい方にとって十分に使える一冊です。
親が加害者であるという現実は、今なお十分に可視化されているとは言えません。本書は、「ありふれた話題」として語られるための一つの手段を目指しています。
本書でできること、できないこと
「やっと逃げて自由になれた!」
「1人でも役所へ行くことができた」
「支援措置の申請、一度目は却下されたけれど、本書を持参して職員に見せたら申請が通った」
「毎年の更新はつらいけれど、本書を鞄にしのばせたら勇気がでた」
「制度は知っていたけれど、アプリのexif等は知らなかったから助かった」
「相談者さんに案内して一緒に見るようにしています」
クラウドファンディングのページには、他にも多数の感想が寄せられています。
制度を利用する当事者だけでなく、支援者や関係機関の方々からも「他部署のことは知らなかった」「次からは相談者に案内できる」との声が多く、身が引き締まる一方、制度が「伝わっていない」ことそのものが、大きな障壁だとも痛感しています。
必要なときが来ましたら、そっと開いていただければ幸いです。

全国の取り扱い書店・図書館


どこで読める?
クラウドファンディングは終了しましたが、本書は全国の書店やオンライン書店でご購入いただけます。
25歳未満の方には子ども割りもあります。
大人の方も、経済的に本を読むのが厳しいという方は、地域によっては図書館でお取扱いがありますから(もし、なくても、司書さんにリクエストすれば入れてもらえることもあります)、ぜひ探してみてください。
全国のお取扱い書店・図書館はこちらに一覧にしています(2025年3月現在)。
2025年5月28日追記:
紙の現行版が在庫僅少となっています。倉庫に約120冊、版元在庫は10冊未満となりました。改訂版が出れば旧版は絶版となるため、今すぐ手元に必要な方や、現行制度下での実用・記録、また歴史資料としてお持ちになりたい方には、お早めのご購入をおすすめします。
なお、本書は紅龍堂書店が商業流通で出版した最初の一冊でもあります。レーベルの歩みを見守ってくださっている方にも、お手元に置いていただけたら嬉しく思います。
書店さまへ
数ある書籍の中から、本書をお目に留めていただき誠にありがとうございます。
◆直取引をご希望の場合、こちらをご覧ください。
◆取次ルートをご利用の場合、書籍コードは
ISBN978-4-902381-45-0
C0036 ¥2200E
でございます。発売元は瀬谷出版株式会社さまとなっております。
本書の詳しい内容や読者様のご感想は、クラウドファンディングページより、
書誌情報や試し読みは版元ドットコムより、
メディア掲載や受賞歴はこちらよりご覧いただけます。
何卒、売場でのご展開をお願い申し上げます。

正誤表

初版正誤表について
本書では、一般には書籍に掲載することの少ない電話番号やURLなども、可能な限り全て載せるようにしました。疲れ切って情報を探す気力もない人が、ワンクリックで飛べるようにしたかったからです。ただ、URLや電話番号は、運営の都合などで変更することが多々あります。リンクが切れていた際などは、読者様にも固有名詞などで最新情報の検索をお願いすると共に、弊レーベルでもリンク切れに気づき次第更新するオンラインの正誤表をご用意しました。特に初版はリンクが切れている箇所が多いため、ぜひご確認いただければ幸いです。お手数をおかけして恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。