クラウドファンディング振り返り
こんにちは、紅龍堂書店の久利生杏奈です。
まずは何よりクラウドファンディング、ご協力いただきありがとうございました。
おかげさまで162%達成という、当初からは想像もつかなかった大きな支援の輪を広げることができました。
昨日は、支援者様へメールでの御礼を(……お一人一人にご挨拶したかったのですが、まさか359人もの方からご支援頂くとは想定しておらず、悩んだ末一斉送信と、個別にお祝いメッセージをいただいた方へのご返信)をさせていただきました。
その後は、団体枠で大口のご出資をいただいた支援者様と、デザイン担当のTS51と連携しつつ、ロゴ掲載の詳細を詰めておりました。
そして今日は、上がってきた企業・団体様リターンページ・奥付などの画像データを本の中に組み込んでいます。
クラウドファンディングの募集が終わってもやることは山積みです。
少しずつでも、思いが形になっていくと嬉しいです。
さて、そんな中、活動報告とはべつに、むしろ活動報告には書けない(けれど自分で忘れたくない)クラウドファンディングの落とし穴や反省点などを、こちらに書き留めていこうと思います。
……何とはまだ明かせないのですが、本書とはべつに、来年~再来年くらいにやってみたいことがあり、実際にやるかやらないかは別として、未来の自分のために備忘録を残しておきます。
取り急ぎ箇条書きにします。
【反省点】
- 最低でも準備期間は二ヶ月必要
- 今回のような書籍のクラファンならば、準備期間のさらに前までに(実施の三ヶ月前までには)、印刷データまで完成させておくべきだった。原稿があるから大丈夫という見積りでは甘かった。もう本当に「あとは刷るだけ」の状態まで持っていっておかないと回らない。
- とてもではないけれどクラファンと制作は併行してはできない。組版にかかる数日だけでも命取りになる。クラウドファンディングを行うならば、スタッフ全員でクラファンに全リソースを回せる状況を作っておくのが妥当。
- その上で、クラファンを行うと事前アナウンスして、応援してくださる方の声や要望を制作物に反映しておくのが大事。
- クラファン期間は国会とかぶらないようにする。
今回は特に法律の本だったこともあり、クラファン期間中にも法改正が重なり、結果的に何度も内容の改定が必要になった。 - 準備期間中の制作物として、クラファン本文ページだけでなく、各SNSで使用する広告まで用意しておいたほうがいい。クラファンが始まってしまうと、SNSと活動報告だけで手一杯になるので、別途文章や画像を作る余裕がない。
- クラファン本文の修正は何度でも可能なので、申請は早めに。
- ただしリターンの修正は公開後は不可能なので、申請時は見落としがないように何度でも念入りに確認する。ここだけは校正校閲をお願いしたほうがいいくらい。
- 企業団体様向けリターンは、万が一にも理念が相容れない事業者からの申込がないように、あらかじめ規約リンクなど貼っておいたほうがいい。また、永年掲載はリスクが高いので、初版のみなどにしたほうがよいかも。
- イベントリターンへの書き込みすぎはよくない。もっとふわっと気楽に申し込めるような雰囲気にしておいたほうがきっとよかった……
- CAMPFIREのニュースレターは一回打てば充分。というか、件名オプションを利用できるのが基本的に一回までなので、それ以上は打っても意味がない。件名を入れないメール広告はまず読まれないと思ったほうがいい。
そこにお金をかけるなら同額をSNS広告やプレスリリースに回したほうが建設的。 - SNS広告は打ったほうがいい。InstagramとTwitterとで、それぞれラストスパートの一週間のみ、一日1,000~1,500円ほど課金しただけでインサイトが3万ほど増えている。もっとも、クリック率が高いかといわれると微妙。事前にきちんと広告を用意しておけばよかった。
- Google広告も同様。昔に比べてはるかに難易度が上がっている……
- プレスリリースを打つべきだった。
所在地非公開なので打てないと思い込んでいたけれど、打つ方法はあった。 - ただし打つと色々な営業が来て面倒。
- メディア掲載や取材の依頼が来ても、掲載までに時間がかかったり、当初の掲載予定時期から大幅にずれ込んだり、最悪掲載自体がなくなる可能性もある。こればかりは予想がつかない。
というか、それを宛にして予算やスケジュールを組んでしまうと、掲載がなくなった時に全てが狂う。 - おそらくプラットフォームや担当者の方にもよると思うけれど、基本的にキュレーターさんは必要最低限のことしか話さない。規約以外の面でのアドバイスはほぼ得られない。特に広告などに関しては、言うことを鵜呑みにせず自分で判断したほうがよい場面も多い。
今回ならば支援履歴セクター(約20万人)に件名有りでニュースレターを打ったけれど、母数が多いランダム(約120万人)に打ったほうが効果的だったのではと疑問は残る。 - 達成率50%にならないとセット広告は使えないので、使いどころは慎重に。
- セット広告によっては性別セクターを自分で選べないので、必ず審査結果が届いたときに確認する。希望と異なる場合はキャンセルも視野に入れる。
- トップ画面広告は(内容にもよるのだろうけれど)思っているほど見られている実感はない。
- デジタル社会にエラーは付きもの。
肝心の場面でCAMPFIREがサーバーエラーを起こして繋がらなくなったり、広報の要にしていたTwitterが大規模障害を起こしてアカウントロックされたりと、なんというかもう散々でした。
SNSは複数運営するか、一番良いのはブログやメルマガなど自社メディアを育てることなのでしょうね……
よろしければぜひ紅龍堂書店のオリジナルメルマガにぜひご登録ください。 - リアルでのイベント開催や声かけ、チラシ設置などのために移動する時間がほぼ取れなかった。これが痛恨。
制作と併行するとリアルでの営業は何もできなくなる。 - なぜかクラファン期間中はメール対応が増える。それもクラファンとは一切関係のないというか……詳細は個人情報になるので割愛しますが、「なぜ今!?」「今じゃなくてもよくない!?」「紅龍堂に聞かなくてもよくない!?」といった類の、誤解をおそれずに言えば迷惑メールが大量に来るようになる。
これが物凄く疲れました。
そのせいで他のお客様へのメール対応にまで影響が出るのが凄いストレスでした。
もし次回があるなら、「クラファン期間中は火急の件以外メール対応できかねます」とアナウンスしておいたほうがいいかも。 - 初見の人は基本的にホームページを読まないで問合せを送ってくる。
- それを加味しても、実店舗は所在地非公開だと私けっこう色んな場面で言ってるつもりだったのですが、全く面識のない方からの「事務所まで行っていいですか」「直接会えませんか」「電話できませんか」といった、結果的に住所取得に繋がりかねない、距離感のバグった要望が一番疲れました。
はっきり言って警戒します。
穏当に断るだけでもエネルギーを使うし疲れます。
また申し訳ないのですが、「読みもしないで要求だけしてくる」人に対しては、リスペクトがないのだなとも感じざるをえません。
弊店が最も大切にしているコンセプトを蔑ろにされるのであれば、「お客様」と認識するのは難しいです。 - 支援者様にトランスヘイトが散見されて疲弊しました。
おそらく私が気付いてないだけでもっといたのかも。ヘイト行為を見かけた場合は、フォロー頂いてもブロックないし解除しています。
重ね重ね、ホームページの事業理念で「差別行為を禁止しています」「出入りをご遠慮頂いています」と書いているのですが、なんだろう、皮肉にもというかある意味象徴的と言うべきか、「理解できない存在を嫌う」方々は、まず他人の言ってることを聞きませんし理解しようとしませんよね…… - 全体的な反省点として、とにかく忙殺されていたのだけれど、無理やりにでも絶対に休みは入れるべき。でないと潰れるし続けられない。
- 特に、自分が平気でも(平気でない場面も正直多かったのだけど)チームの心身が追いつかないというケースが気がかりでした。意識的に周りに目を配って、気付いた人から早め早めに休むように声をかけあうこと。
- 本人が「平気」と言っても、平時と異なる重圧下で動いている時の言葉は必ずしも正しくない。本人も無意識にメンタル面などで無理をしていることがある。
- 事故や災害やプライベートの大惨事が起こる前提でスケジュールを組んでおいたほうがいい。現に、事故もプライベートの大惨事も起きた。
- それでも162%達成できたのは、もう本当に……皆様のご協力の賜です。ありがとうございました。
- 次回もしまた何かやる時は、今回の件で人手不足を痛感したので、新規メンバー募集を視野に入れています。
こういったことはご縁だと思っているので、「この人と働きたいな」と思ったら私からお声かけさせていただくこともあると思います。
逆に「我こそは!」とお声かけいただいたり、企画の持ち込みなども通年大歓迎なのですが、ごめんなさい、重ね重ね、どんなに優秀な方でも距離感のバグった方と差別をする方は無理ですと最初に断っておきます。
……以上です!!!
また何か思い出したら書き足すと思います。
やることはたくさん残っているのですが、過労で低音性難聴になっているので、しばらくは意識的に休みを増やしながら仕事をしようと思います(難聴自体は今回が初めてではなく、対処法も治療法も分かっているので大丈夫です)。
SNSの稼働も、クラファン期間中に比べたらゆっくりになります。ご容赦いただければ幸いです。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
癖の強い版元で恐縮ですが、よかったら、またブログにも遊びにいらしてくださいね。
紅龍堂書店
久利生杏奈
この記事へのコメントはありません。