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年の瀬のご挨拶

こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。

一年間、たくさんお世話になりました。優しくして頂いて……
真っ先に思い浮かぶ言葉は「ありがとう」なのですが、でもそれを書いてしまうと、もう伝えたい想いの全てを出し切ってしまうようなものだから、ちょっとだけ遠回りをさせてくださいね。

……届くかな。届くといいな。
届かないかな。
いつもそんな気持ちで書いてきました。
少しの諦観も交えていなかったと言えば嘘になります。
最初は景康への私信のようなものでした。8月2日と12月28日にそれぞれ失踪した「景康」は、私のとても大切な人です。どこかで見てくれていればいいと願いながら、でも心のどこかでは、もうどこにもいないことに気付いている。そんな凪いだ感情をこそどうにかするには、「書く」という手段しか私は持ち得なくて。
書かないと、想いは無かったことになってしまうから。
まずは、とりとめもない――そう文字通り宛てのなかった雑感を、拾って下さった誰かに感謝します。あなたに笑って頂けて救われました。

『王の庭師』、発売出来てよかったです。
ここで書いていいものか悩んだのですが、Twitterだと流れてしまうから……本当に嬉しかったから。
この場所に、書き留めさせてください。

https://twitter.com/ichiya_bunko/status/1343205791021428738

一夜文庫さん、ありがとうございます。
一方的に年の瀬の告白みたいでちょっと恥ずかしいんですけど、一夜文庫さんて、凄く素敵な方なんです。
お会いしたこともないのに恐縮なのですが……
でもTLを眺めているだけでも伝わってくるものがあって。周りの誰もが嫌いと言っていても、自分が好きなら好き。周りの誰もが絶賛していても、自分が嫌いなら嫌い。
そういう意見を、いつもすっごく迷いながら言葉にされてるんです。
簡単に言わないんです。スパッと切ってしまっても何も引け目に感じなくていいような場面ですら、いいのかな、どうなのかなって悩みながら、でも最後には毅然とした言葉にまとめられている。そしてたぶん……これは、「書かれていない」ことだから私の想像でしかないのですが、その毅然とした言葉を綴った後に、いつもほんの少し、後悔されているんじゃないのかなという気がして。
自分の信念のために、誰かにかすり傷をつけたことを。
それを言葉として懺悔したところで、誰かの傷を癒せるわけでもないから、むしろ傷つけた痛みや責任を忘れないようにと、そういう「過ぎた自分の感情」にだけ敢えて触れていないように見えて。少なくとも私の目には。
人柄って、書いた言葉と同じかそれ以上に、書かれなかったことに出ると思っているのですが、一夜文庫さんのTLは、「見えない」優しさに、ほっとするし、はっとします。
月のない、星の綺麗な夜みたいな人だなぁって。

そんな方がですね、『王の庭師』の最初の感想を下さったんです。これはもう事件ですよ。紅龍堂は大騒ぎでした。
なんて喜ばしいんだろうって。

他にも個人的に頂いたご感想や、「買ったよ」という一言に、本当に、本当に救われました。勿論、声こそ聞いていなくても、どこかで物語を読んで下さっているあなたにも。
ありがとうございます。
無名の出版レーベルが本を出すって物凄く実験的で怖いことだから。

『王の庭師』は、書くのもとても怖かった物語です。
私の役目は「翻訳」だけど、それにしたって生まれてくる一行一行に、自分はどこまで責任を負えるのかな、本当にこんなことを書いてしまっていいのかなと何度となく自問自答を重ねました。
大きな業界の渦に巻かれている間は絶対に書けなかったことでした。
決して大袈裟ではなく、全てを犠牲にして紅龍堂に辿り着いたからやっと投げかけることができた「問い」でした。
他でもない自分自身への。
その一つの答えが得られたような気がして救われました。
だからといって、ここで慢心してはいけなくて、私は、私たちは、これからも「本当にこれでよかったのか」を何百回、何千回と繰り返していかなければなりません。
そう初心を思い出せたことに、心からの感謝を。

……あとは……

なんだろう、年の瀬のご挨拶ってまるで……ちょっと怖くなりますね。
Twitter等で、私と言葉を交わしてくださった方々にお礼を。
最初期からフォロー頂いている皆さまにはとりわけ感謝申し上げたいです。
『紅龍堂書店』はお気づきのとおり幻想書店ですから、誰かが「在る」と信じて下さらなければ、この世に存在することができません。
私がここで今、この一行を書いていられるのは、他でもないあなたのおかげです。
あなたがいなくなってしまったら、紅龍堂は存在意義を失います。
……だからどうか、来年も元気でいてくださいね。
たとえ今、「自分はひとりぼっちだ」と沈んでいたとしても、良いお年を迎えてください。意地でも。どんなに難しくても。誰が願わなかったとしても、私はこの場所から、本当に心の底から、あなたの平穏を祈っています。

民主主義についても少し触れておきます。
今年を振り返る上で欠かせないキーワードだから。
……政治、大変でしたね。
来年は少しでも、明るくて優しい社会になるように……希望するだけでなく、自分から働きかけていかなければならないという備忘録を。
大家さんの持続化給付金問題や、大阪市廃止投票等や、種苗法や、医療従事者の方々や……
一つしかない自分の身を削って、他の誰かのためにと走り続ける人に出会えたことは、かけがえのない私の財産です。
こんなにかっこいい人たちが、この国の、同じ空の下のどこかに生きているんだと思えたことは、どんな「物語」よりも私にとっては胸を打つ事実でした。
来年もどうか、誰かをそっと想うのと同じくらい、自分のことを大切にしてください。

……他にも何かあったかな。
あるに違いないんだけど、少しの書き残しは、それこそ来年にとっておくくらいがちょうどいいのかな。
毎日が続いていくことに感謝を。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。とても……うん。とても嬉しいと、心に沁みとおるように書けることが嬉しいです。
あなたと、あなたの大切な人が、いつもあたたかくて優しい日々を過ごされますように。
きっとまた、来年も、遊びにいらしてくださいね。


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