「斜に構えて物を見なさい」
こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。
情報量の多い一日でした。
動揺されている方も多いと思います。
私は、今、ここにいない景康を思い浮かべて、「斜に構えて物を見なさい」と諭された言葉を何度も胸の内に諳んじています。
怒涛のように「感情」に訴える情報が来るときほど、一つ一つ、精査を。
どんなに残酷だと言われようと、鵜呑みにしない勇気を。
それが、ほとんど唯一、次の誰かを救う方法だと信じています。
志村けんさんが亡くなりました。
「志村けんさん」、twitterやニュースでパッと目に飛び込んでくるのは、漢字平仮名にしてしまえば「たった6文字」の平板な情報です。
悪し様に罵る前に、せめて、写真を検索してください。
罵るなら、目を合わせてみてください。
フェミニストを自称する女性が、「死んでも女の裸を見世物に笑いを取ってきた事実は変わらない、何の感慨も湧かない。清々した」という旨をツイートされていました。志村さんが亡くなる前、「けんさんのおかげで、俺たち30代はTVでおっぱいを見れるようになったんだ。死なせねえよ」というツイートが何万イイネされていました。
異常ですよね。どちらも。
私は、志村氏――というよりも日本のある年齢以上の世代が「笑い」と捉えている性暴力について、極めて深刻な問題が潜んでいると考えている立場です。フェミニストかと問われればYESです。
だからと言って、今日、故人に石を投げるような内容をわざわざツイートしようとは思いません。
「志村けんさん」にもご家族がいます。その遺族が黒装束を着て泣いている葬式の隣に、唾を吐き捨てる行為は「正しい」のでしょうか。
ツイートならばいいのでしょうか。
顔が見えなければいいのでしょうか。
――性犯罪被害者ならば、その権利があるのでしょうか。
分かりません。
でも一つだけ。
死人を指差す行為は、少なくともフェアではないです。
批判は「今日」でなくてもできるはずです。
ご遺族が悲しんだ後に。
報復は、フェミニズムが目指す平等から、最も遠い恥ずべき行為だと私は思います。
「志村けんさん好きだった。昨日からずっと悲しい」
中国人のお友達がラインをくれました。
「でも死んでも女の裸を見世物に笑いを取ってきた事実は変わらない、何の感慨も湧かない。清々した」
言えますか?
私は言えません。
人に傷つけられたことが、人を傷つけていい理由にはなりません。
あくまでも私の考えです。
――次の話題に移ります。
苦しいですが、一つ一つ、記録しておく必要があると感じています。
志村けんさんの訃報とほぼ同じタイミングで、以下のツイートが流れてきました。現時点で23万RTされています。
ごめんなさい、志村けんさんの「訃報」の後に、鬼のような判断だと自覚していますが、
私はこの一連のツイート、情報源として信用していません。
念のため、コロナに強い危機感を抱く必要性――極めて高い危機管理意識が火急に、国民全員に求められていることに関しては、全面的に同意しています。その上で、
「私の甘い考えで、複数人の人を危険に陥れ、殺してしまったのです。私のこれは殺人と言われても仕方のないことです」
https://twitter.com/eH4cDkU7PjLi022/status/1244245029217898497
違います。
相手はウイルスです。
罹患者はただの被害者です。
仮にこのツイート内容が事実だとしても、「被害者を責める」風潮を蔓延させている時点で二次災害です。
こんな穿った見方をしている自分に吐き気がしますが、過去にこうした違和感が外れたことが一度もないため、「お願いだから外れて欲しい」とむしろ祈りながら書きます。このツイートが広がって得をするのは政府です。ここまでウイルスが蔓延したのは政府の対応が遅かったからです。国民が「私の甘い考え」のせいだと思ってくれれば政府は責任を取らずに済みます。ツイートの真偽は不明ですが、政府が情報操作目的でランサーズやツイッター・ジャパンと提携した他、明らかに越権行為である言論統制を行ってきたのは事実です。
「私の甘い考えで、複数人の人を危険に陥れ、殺してしまったのです。私のこれは殺人と言われても仕方のないことです」
https://twitter.com/eH4cDkU7PjLi022/status/1244245029217898497
「私が家族を殺した。そうおっしゃる方がいらっしゃいますがその通りです。私の甘い考えがこのような事態を発生させてしまったんです」
https://twitter.com/eH4cDkU7PjLi022/status/1244441437938176001
不注意でウイルスに罹患することは、「殺人と言われても仕方のないこと」ではありません。
ツイートは匿名であり、「私1人の事例を全ての事例だと勘違いする方がいらっしゃる可能性がありますので私個人の症状や対応などの公表は控えさせていただきます」とあります。それについては言及しません。twitterの使い方として「実名公表をしなければならない」というルールもありませんし。
しかし世界中が極めて厳格な対応を打ち出す中、
4月1日から学校を再開するなどという狂気にも近い方針を出し、子どもたちの命を危険に晒そうとしているのは政府です。
次々に人が死に続ける中、「来年7月23日にオリンピックを開こう!」などと、正気を疑うような金儲けの算段を優先して会議していたのは政府です。
満員電車や休業補償は放置し続け、「自粛で乗り切って」などと極めて無責任かつ曖昧な態度で逃げ続けているのは政府です。
これらは事実です。
「甘い考えで、複数人の人を危険に陥れ、殺してしまった」
「殺人と言われても仕方のないこと」
主語が政府なら事実です。
私見ですが、こんな政府の下で、危機感を持てる人がいるとしたらその人はよほど情報に恵まれています。もし私の感覚が「間違っている」ならば逆に指摘頂けると本当に有難いのですが、大人に「自粛して」と言われただけで危機感を持てる学生って、どれくらいいるのでしょうか? 私の感覚では、そんな子どもがいるとしたら、その子はアスペルガーか脳過敏症候群かHSPなど先天的な繊細性を持ち合わせているか、生まれついてIQの高い天才です。
ふつうは無理だと思います。
危機感を持って欲しいのならば手本を見せるべきは大人です。
家族を亡くした子どもではなく。
あなたは、どう思いますか?
末筆ながら、もしツイートが事実ならば、心中察します。比喩ではなく。
本当に次の「犠牲」を避けたいのならば、それが動機であるならば、必要な情報を自分の言葉で述べることから逃げないで下さい。
それができないならば、沈黙から逃げないで下さい。
私は時間でしか解決できませんでした。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。――言葉が足りなかったらごめんなさい。
きっとまた、明日も元気で、遊びにいらしてくださいね。
「初月家賃無料、ペットもルームシェアも単身高齢者もLGBTQも外国籍も生活保護も前科持ちも当たり前にOK」だそうです。詳しいことはリンクからご確認くださいませ。
「自分も物語の世界に飛び込みたい」という方は、とりわけ、大歓迎です。
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