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草木萠動(そうもくめばえいずる)

こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。

早いもので、気づけば雨水も末候。
今日から五日間は、「草木萠動(そうもくめばえいずる)」という季節です。
最近では「萌え」という字を見ると全く違う文化を想起しますが、元々は「芽吹く」、「きざす」という意味の言葉です。

――そうそう、萌え文化自体は興味深いのですが、出版・コンテンツ業界を知る者として、この場をお借りしてお伝えしたいことがあります。
「萌え」が10代の男の子をターゲットに出発した文化であることは否定しようもない事実です。
漫画編集者やゲームクリエイターが、「パンチラ描写を入れて」「下着はもっとセクシーに」など指示しているのも本当のことです。「パンチラ」などとポップな名称が付いているせいで倒錯するのですが、やっていることは「女の子が隠したい部位を、男性編集者の意向で、男性読者が喜ぶように曝け出す」行為ですから、覗き・迷惑防止条例違反の助長です。
この話を日本ですると「極端だ」ととても驚かれるのですが、西欧圏や、ヒンズー教徒の多いアジアの国では、逆に日本の漫画(例えば青年誌の表紙がグラビアであることなど)にギョッと驚かれ、軽蔑されることが多いです。
「君はこれについてどう思っているの?」と。
私としては、「萌え」が溢れかえっている日本社会には、やはり疑問を感じます。
特に、自治体や公共の場所で使われるパンフレットやポスターなどは、市民が男女で構成されている以上、男女平等にPRして然るべきですから、文脈として「男の子」をターゲットに定めてきたイラストを起用することはどうなのかしら、というのが紅龍堂書店の考えです。
コンテンツ業界の中の人たちはこの件について話したがりません。「萌え」は ギャンブルや煙草に匹敵する中毒性の高い嗜好品であり、売れるからです。
しかし、そのせいでインターネット上で、「フェミ」VS「オタ」とでもいうような地獄絵図が広がり続けているのは悲しいことです……ですから悩んだのですが、消費者ではなく制作サイドの人間として、本当のことを書いておきます。「女性だって萌え絵が好きな人はいる」「フェミは自分が嫌いなものを見たくないだけだろう」という論調をよく見かけるのですが、はい、私も萌え絵は可愛いと思います。
それは、結果論です。
「男の子をターゲットに出発した」「レディー・セカンド」の文脈があることは明確な事実です。
そうしたコンテンツを、政治の場で使うことは非常に危うく、控えめに言っても軽率だと思います。
これが男性向けの棚にあるのならば理に適っているのですけれどね! 女性も目にするコーナーで、レイプ漫画すら平積みしている昨今の状況は国際基準では「異常」です。
何もかも世界準拠にすることが正しいとは思いませんが、わざわざ「男の子」優位の社会にしていくのはどういった意図なのかしらと不思議に思います。
それで誰が得をして、誰が損をするのか。

世界ではこれを「差別」と呼びます。

ちなみに紅龍堂書店はコンセプト「物語」ページにも掲げていますとおり、差別思想には断固反対の立場ですから、ゾーニングもせずに「萌え」コンテンツを置くことはありません。
読者さんが自身の感性で、私が想像もしなかったキャラクターに燃えたり萌えて下さることは大歓迎ですけれどね! ふふ。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。とっても嬉しいです。
きっとまた、遊びにいらしてくださいね。


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